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環境エネルギーと原子力を学ぶ学生による原子力Q&A
nucqa.exblog.jp
厚生労働省の食品放射能規制の暫定基準値はWHOのものより高いようですが、どうしてですか?
【ご質問】

WHOの基準はヨウ素もセシウムも区別せず全体で1Bq/L、ドイツはさらにその半分だそうですが、その辺りをどうお考えですか?

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【回答】

以下の資料によると例えば水については,,WHOのガイダンスレベルではヨウ素131が10Bq/Lの程度,セシウム137が10Bq/Lの程度であるようです.
http://www.who.int/water_sanitation_health/
dwq/GDW9rev1and2.pdf

以下ではWHOの基準について少し説明します.ドイツについては適当な資料が入手できなかったため,回答は控えさせてください.

上記資料によると,WHOのガイダンスレベルは,「預託実効線量」(内部汚染をしてから将来受ける被ばく線量)が年間で0.1mSv以下になるように設定されています.また,これは日常的な正常な状況での基準であり,緊急時で汚染を受けている場合に適用されるものではないことも記載されています.今回は緊急時であるため,政府が暫定規則値を出したと考えられます.

今回の政府の暫定規制値については,食品安全委員会の資料に詳しい記述があります.
http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/
emerg_genshiro_20110316.pdf

詳しくは資料の問3を見て頂きたいと思いますが,ICRP(国際放射線防護委員会)が勧告した放射線防護の基準(例えば放射性セシウムの場合は,実効線量が5mSv/年)をもとに指標が定められているようです.この基準が,前述のWHOガイダンスレベルで参照されている0.1mSv/年よりも高いため,結果として暫定規制値はWHOのガイダンスレベルより高くなったと考えられます.
by n_i_2011 | 2011-03-22 21:35 | 放射性物質の影響・被害
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