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環境エネルギーと原子力を学ぶ学生による原子力Q&A
nucqa.exblog.jp
時間当たりの放射線量が報道されていますが、これを年間線量と比較することに意味はありますか?
【質問】

テレビでは線量を年間単位のものと、時間単位のものとで比較して安全性を強調しているようですが、この比較は無意味ではないのでしょうか?単位時間あたりの線量は24倍し、さらに365倍してようやく年間線量と比較する意味があるように思いますがいかかですか?

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【回答】

確かに年単位と時間単位を比べることの意味は少ないです.しかし一方で,時間単位の線量を8760倍(=24倍×365倍)することも,意味の少ないことです.なぜなら,短い時間に高い線量が測定されたとしても,その線量が一年間続くことは考えにくいためです.

過去の事例において,人体への被ばくで健康影響が出始めた状況は,100ミリシーベルトを一瞬で浴びた状態でした.100ミリシーベルト以下なら,ただちには臨床影響(実際的な影響)は見られていません.
(例えば,http://www.enecho.meti.go.jp/genshi-az/ray/ray_type/ray_type.htmlなどを参照)

一般に,弱い放射線を長時間浴び続けるよりも,強い放射線を短時間で浴びる方が,同じ量をトータルで浴びても健康への影響は大きくなります.イメージとしては,アルコール度数の高いお酒を一気飲みすると危険ですが,ゆっくり時間をかけて飲めば影響は少ないのと同じです.低線量の被ばくの健康影響については,下記のサイト等をご参考ください.

[生体機能研究会]
・トップページ
 http://www.bio-function.co.jp/index.html
・低線量被ばくの影響
 http://www.bio-function.co.jp/LD/LDFRONT.html
by n_i_2011 | 2011-03-17 18:06 | 放射性物質の影響・被害
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