中性子を吸収し,連鎖的な核反応がおこることを防ぐためです.
ホウ素(原子記号:B)は核分裂反応の維持に必要な中性子を吸収する性質を有します.ホウ酸(H3BO3)はこのホウ素を含む水溶性の物質です.福島第一原子力発電所1号機ではこれを海水に混ぜて,冷却水の代わりとして原子炉に注入されたようです.通常では,核分裂連鎖反応を抑える役割は主に制御棒が担っていますが,今回は燃料の一部が溶けている可能性があります.溶け出して,設計外の形で存在する核燃料の反応(再臨界)を抑えるため,ホウ酸を注入しているものと考えられます.