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環境エネルギーと原子力を学ぶ学生による原子力Q&A
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※お知らせ※
震災発生から一週間以上が過ぎました.連日,地震・津波による被害がいかに大きなものだったかが報道されています.私たちも,このたびの震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りし,また,被災された方々にお見舞い申し上げたいと思います.
今回の原発事故は,そうした被害と相まって,社会に大変な影響を与えています.地域住民の方々に避難などを強いることになり,また,皆さまの心配,不安,怒り,憤り等のお気持ちはいかばかりかと考えると,本当に心が痛みます.その中で,原子力工学を学んできた者として何かできることはないかと考え,学生有志を中心とした私的な活動として当ブログを立ち上げ,運営しています.
当ブログに記載されている情報は,私達の力でできうる限り,正確さとわかりやすさに心がけたものです.しかし,常に100%絶対に正確であるとは,残念ながら申し上げられません.政府や東京電力から明らかにされている情報には限りがありますし,私達の理解が及ばない部分もあり得ると思います.あくまでも,閲覧される方のご判断と責任のもとで利用してください.当ブログの記載内容によって起こった結果については,残念ながら一切の責任を負うことができません.より信頼性の高いと考えられる専門家が周囲にいる場合は,そちらの情報を重視してください.

ご質問ありがとうございます.3/22までに頂いた質問については回答させて頂きました.
震災発生から1週間以上がたち,原子力事故に関する情報も,多くの信頼できるコミュニティーから発信されるようになりました.そのため,今後はQ&Aの確認頻度を少し下げる予定です.回答が遅くなる可能性があることはご了解ください.
また,本ブログの趣旨は「一般の方が難しいと思われる専門用語の説明や、信頼性が高いと考えられる情報へのリンクを提供」ですので,ご質問の際はそのこともご留意ください.


※いただいたコメントに対する回答は,下記のリンクよりご覧ください。
http://nucqa.exblog.jp/13144125/


※閲覧上の注意
当ブログは,一般の方が難しいと思われる専門用語の説明や,信頼性が高いと考えられる情報へのリンクを提供することを,主な目的としています.今後起こりうる結果を断定的に予測したり,皆さんに代わって何らかの判断を下したりするためのものではありません.
また,時間によってかわるリアルタイムの状況については,政府等の発表をしっかりと確認するようにしてください.適時適切な情報の信頼性を保つため,当ブログの内容も必要に応じて更新していきます.このため,当ブログの記載内容を他の方に伝える場合,記載内容のコピーではなくURLを伝えるようにしてください.私達は政府や東京電力等の関係機関の発表内容に基づいて記述を行っていることをご承知おきください.
また,私達は,学生として原子力に関する専門的な教育を受けていますが,専門家に比べれば知識・経験が不十分な部分もあると思います.また,当ブログは,東京大学の公式の活動として行っているものでもなく,所属する学生有志を中心とした私的な活動です.繰り返しになりますが,当ブログの情報については,閲覧者の皆さん個人のご判断と責任のもとで利用してください.当ブログの記載内容によって起こった結果については,残念ながら一切の責任を負うことができません.より信頼性の高いと考えられる専門家が周囲にいる場合は,そちらの情報を重視してください.

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1.放射性物質による健康への影響

【現状のまとめ】3/20,12時現在
状況は日々変化する可能性があります.国や自治体の発表は最新情報に基づいていますので,どのような行動を取るべきかの判断については,当ブログの記述よりもそうした情報に従うようにお願いします.
これまでの報告を見る限りでは,東京等の遠隔地では,健康に被害の出る程度の影響は現状では想定されません.パニックにならず冷静に行動することが,被害を最小に抑えるために重要と思われます.
健康への影響を防ぐには,①放射性物質の皮膚への付着を防ぐこと(皮膚を外気に曝さない,屋外に居た場合は服のほこりを丁寧にしっかりととる,屋内に退避する等)と,②体内への取り込みを防ぐこと(手洗いを徹底する,マスクをする等)が,多くの場合に効果的です.個人的に取り組めることですので,心掛けてください.

より詳しい情報は,下記のリンクよりご覧ください.

1-1 被曝を防ぐ方法
http://nucqa.exblog.jp/13137943
1-2 健康への影響
http://nucqa.exblog.jp/13138028
1-3 遠距離での影響
http://nucqa.exblog.jp/13138053
1-4 事故の程度,今後の見通し
http://nucqa.exblog.jp/13138076/
1-5 放射線の測定,放射線に関する用語
http://nucqa.exblog.jp/13137801/


放射線医学総合研究所のホームページもご参考ください.
トップページにホットライン(電話での問合せ方法)の情報もあります.
http://www.nirs.go.jp/index.shtml

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2.原子炉の状況やその安全性

【現状のまとめ】3/21 12:00現在
今回の事故に対するこれまでの対応は,
①原子炉格納容器と圧力容器を守る対応
②原子炉内の燃料を守る対応
③保管されている使用済み核燃料を冷却する対応
の三つに分類されます.福島第一原発では,これらの努力が続けられてきていますが,完全な対応をすべての号機に対して行うことができなかったため,多量の放射性物質の放出に至っています.
ただし,同原発5号機・6号機では,復旧の努力の結果、これらの対応すべてがまずは成功し,放射性物質の外部への放出なしに,原子炉を安定的な状態に保つ「冷温停止」状態が達成・維持され,使用済み核燃料も安全な状態で保管されています.また、同じく地震・津波の被害を直接的に受けた東北電力女川原発,東京電力福島第二原発および日本原子力発電東海第二原発でも,事故からこれまでの対応が奏功し,放射性物質の外部への放出なしに,原子炉を安定的な状態に保つ「冷温停止」状態が達成・維持され,使用済み核燃料も安全な状態で保管されています.これら以外の全国の原発や原子力関連施設は,震災前から一貫して安定な状態に保たれています(3/21 12:00現在).

より詳しい情報は,下記のリンクよりご覧ください.

2-1 事故の経緯
http://nucqa.exblog.jp/13138942
2-2 事故・問題への対策
http://nucqa.exblog.jp/13139028
2-3 爆発やメルトダウンなど
http://nucqa.exblog.jp/13139062
2-4 他の原発の状況
http://nucqa.exblog.jp/13139105



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有用なサイト リンク集

<首相官邸>
・「東北地方太平洋沖地震への対応」
  *政府の公式発表の内容が確認可能
  *twitterもあります
 http://www.kantei.go.jp/saigai/

<文部科学省>
・健康相談ホットライン(一般向け) 
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/__icsFiles/afieldfile/2011/03/17/1303754_1.pdf

・被ばく評価に関する技術指針(一般向けではないです)
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/sonota/990401.htm
・放射線モニタリング情報
 http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303726.htm

<放射線医学総合研究所>
・トップページ(一般向け電話問合せの情報あり)
 http://www.nirs.go.jp/index.shtml
・特設ページ
 http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i3

<緊急被ばく医療研修>
・緊急被ばく医療ボケットブック
http://remnet.webcdn.stream.ne.jp/www09/remnet/lecture/b05_01/index.html
・トップページ
 http://remnet.webcdn.stream.ne.jp/www09/remnet/index.html

<食品安全委員会>
・飲食物中のヨウ素等の健康影響
 http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/emerg_genshiro_20110316.pdf
・トップページ
 http://www.fsc.go.jp/

<緊急被ばく医療推進センター>
・放射線Q&A
 http://wjrempan.rerf.jp/qa.html

<核燃料サイクル工学研究所>
・「2.放射線と放射能」の説明など
 http://www.jaea.go.jp/04/ztokai/kiso/index.html

<生体機能研究会>
・トップページ
 http://www.bio-function.co.jp/index.html
・低線量被ばくの影響
 http://www.bio-function.co.jp/LD/LDFRONT.html

<茨城県>
・東北地方太平洋沖地震への対応
 (放射線の量の計測結果,健康への影響に関する発表など)
 http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/index.html

<紛失物をみつけるサイト>
友人のサイトの紹介です。もし今回の震災で何か大事なものをなくされた人や、何か大事そうなものを拾われた人が周囲にいたら、このサイトを教えてあげてください。
 http://www.belongingsfinder.org
by n_i_2011 | 2011-03-22 22:45 | トップページ
放射能の強さ(Bq)の換算について教えてください。
【ご質問】

1986、チェルノブイリ以降1988年出版の「放射能はなぜこわい」にあった資料に、日本での「ほうれん草」「原乳」「水道水」の『最高値』(ヨウ素131)がありました。
ほうれん草=10.3pci/g 原乳=678pci/l 水道水=44pci/lこれをベクレルに換算してみて頂きたいのです。
私は素人なので1キュリー=370億ベクレルという式を使い3.11 東北地震に関する原発関連の情報にもアップしてみましたが、自信がないので、よろしくお願いします。

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【回答】

単位の換算ですが,1キュリー=370億ベクレル(3.7E10 Bq)で正しいです.p(ピコ)は10E-12(10のマイナス12乗)なので,1pCi=0.037Bqになります.以上の関係から,それぞれ以下の通りになります.
 ①ほうれん草=10.3pci/g = 0.381 Bq/g
 ②原乳=678pci/l = 25.1 Bq/l
 ③水道水=44pci/l = 1.6 Bq/l
一つ注意して頂きたいのは,報道では多くの場合に単位にBq/kgを使っている点です.その単位に合わせると,
 ①ほうれん草=10.3pci/g = 0.381 Bq/g = 381 Bq/kg
 ③水道水=44pci/l = 1.6 Bq/l = 1.6 Bq/kg
となります.ただし,原乳については密度がわからないため,ここでは換算していません.
by n_i_2011 | 2011-03-22 21:55 | 放射性物質の影響・被害
水道水を飲んでも内部被ばくはないのでしょうか。
【ご質問】

福島県災害対策本部の発表に福島市の水道水に放射性物質のヨウ素とセシウムが検出されたとの発表がありました、原因は福島第1原発の爆発が原因ではないかとの事です検出された放射性物質の量が微量なので健康には問題ないとの事ですが、水道水を長期間飲み続けても大丈夫なのか?放射性物質を体内に取り込めば内部被曝を起こし健康に悪影響を及ぼさないか疑問です体内に放射性物質を取り込めば細胞を長期間破壊する可能性が高いと思いますがはっきりした数値の発表は無かったと思います、水道水を飲んでも内部被曝は無いのでしょうか。分かり易く内部被曝の危険性の解説をお願いします。

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【回答】

「被ばく」という語句は「放射線を浴びること」「放射線に曝されること」を意味します.そのため,今回ヨウ素やセシウムが検出された水道水を飲めば,内部被ばくをすることになります.ただし,普段食べている食品にも放射性物質は少し含まれており,その意味では普段の生活でも内部被ばくしていることになります.重要なのはその量ですので,「内部被ばく」という言葉だけでなく,想定される被ばく量に注目して確認するようにしてください.

放射性物質が体内に取り込まれた場合,
 ①その物質が崩壊(=「放射線を出して他の物質に変化すること」)して消滅する
 ②体外に排泄される
のいずれかによってその量がなくなるまで,内部汚染は継続します.そのため,体内に長期間にわたって残留する放射性物質は,一般的に内部被ばくも大きくなります.
①については「半減期」という物理量でその消滅の速さが決まります.②については物質の化学的な性質や生物的な重要度等によって,身体のどの部位にどの程度の期間存在するかが決まります.これらを総合的に判断して,「実効線量係数」というものがICRP(国際放射線防護委員会)から発行され,必要に応じて更新されています.この実効線量係数を使うことで,内部被ばくの総合的な影響,つまり内部汚染をしてから将来受ける被ばく線量(=「預託実効線量」)が評価されます.

これまで検出されたいくつかの放射性物質に関する評価例については,食品安全委員会の以下の報告等をご覧ください.

http://www.fsc.go.jp/sonota/
emerg/emerg_genshiro_20110316.pdf


預託実効線量の計算方法等については,以下の文部科学省の“環境放射線データベース”のサイトをご覧ください.

・預託実効線量の計算方法
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/
food2/Help/yotaku_guide_keisan.html

・預託実効線量の計算例
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/
food2/Help/yotaku_guide_keisanrei.html


内部被ばくの詳しい情報については,「緊急被ばく医療研修」の以下のサイトをご確認ください.
わかり難い用語等があれば,またご質問ください.

・内部汚染の評価方法
http://remnet.webcdn.stream.ne.jp/
www09/remnet/lecture/b05_01/2_2_4.html

・内部汚染で問題となる核種とその特徴
http://remnet.webcdn.stream.ne.jp/
www09/remnet/lecture/b05_01/2_2_5.html

by n_i_2011 | 2011-03-22 21:52 | 放射性物質の影響・被害
危なくて事故現場に近づけないなら、放置すればよいのではないですか?
【ご質問】

そもそも「原子力事故」は何が問題なんですか?危なくて近づけないなら、放置すればいいじゃないですか。

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【回答】

現在,連鎖的な核分裂反応は止まっていますが,核燃料および使用済み核燃料からの熱(崩解熱)が発生し続けています.今はその熱を取り除く努力,および熱を取り除く機器の回復に向けた努力が続けられています.
その努力を止めて放置した場合には,熱により燃料を覆っている材料(燃料被覆管)が融けるなど,放射性物質を閉じ込める仕組みが失われ,今まで以上に大量の放射性物質の放出に至る可能性があります.放射性物質が閉じ込められている場合は,そこから距離を取れば放射線の影響は速やかに減少します.しかし,その閉じ込めがうまくいかず放出された場合には,「放射線を出す物質」が移動するため,より遠距離においても放射線の影響を受けることになります.現在は,既に一部の放射性物質の放出・拡散があり,福島県以外で農産物から放射性物質が検出されるなどの影響も出ています.この影響の拡大を防ぐためには,核燃料および使用済み核燃料から熱を取り除く仕組み,つまり冷却機能を回復させることが重要になっています.
by n_i_2011 | 2011-03-22 21:46 | 原子炉の状況やその安全性
福島第一原発の核燃料がすべてむき出しになったとして、何キロ以上離れた地点なら安全なのですか?
【ご質問】

福島原発が保有する核燃料すべてがむき出しの線源となったと想定して、距離による減衰を考慮すれば何キロ離れた地点で人体に影響がないといえる線量になるのでしょうか?自然条件など様々なパラメータによるとは思いますが、理想条件でかまいませんのでご教授ください

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【回答】

核燃料には多くの放射性物質(放射線を出す物質)が含まれています.放射性物質からは,α線,β線,γ線と呼ばれる放射線が主に放出されます.この中でα線やβ線はモノを透過する能力が低く,建物などの一般的な構造物があればその多くは遮蔽されます.また空気中を移動するだけでもある程度減衰されるため,放射性物質の位置が固定されている場合は,遠距離では問題にならないと考えられます.遠距離で一般に問題となるのは,モノを透過する能力が高いγ線です.

ただし,「核燃料すべてがむき出しの線源」となった場合にも,その線源(=放射性物質)が福島第一原発に固定されている場合には,放射線が遠距離に到達するまでには建物などの一般的な構造物を数多く透過しなければなりません.γ線は密度の大きいものを通過する場合に減衰が大きく,鉛などが遮蔽の用途に使われることが多いですが,コンクリートでもその量(厚み)が総量として十分にあれば,高い遮蔽効果が期待できます.そのため,「核燃料すべてがむき出しの線源」を考えた場合にも,例えば現状の避難区域(20km,3/21 12時現在)以上の区域に,人体に影響の出る放射線が到達することは現実的には考えにくいです.

しかし,この評価は,放射性物質の位置が固定されていることを想定したものです.実際は,ヨウ素やセシウムなどの気体になりやすい物質は,容易に拡散・飛散します.つまり,放射性物質の位置が移動することになります.結果として,福島第一原発に全ての放射性物質が集まっている場合と比べて,遠距離の地域への影響は大きくなります.現在,福島県周辺地域で確認されている放射線の多くは,拡散・飛散した放射性物質によるものと考えられます.このことは,一部農作物からヨウ素などが検出されていることからも確認できます.
そのため,実際には,福島第一にある放射性物質からの放射線よりも,飛散・拡散してきた放射性物質からの放射線の影響の方が遠距離では強いということになります.よって,このむき出しの固定された線源という想定は,放射性物質放出による現実の影響とは大きく異なる結果を与えると考えられますので,その点はご注意ください.
by n_i_2011 | 2011-03-22 21:43 | 放射性物質の影響・被害
内部被ばくをした場合、線量などの検査はできるのでしょうか?
【ご質問】

福島原発近辺以外の地域から放射線が通常より高い数値で測量できるという事はその場所には放射性物質が飛散してきてるという事ですか?また内部被曝をした場合、線量などの検査は出来るのでしょうか?

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【回答】

政府発表や報道によると,水道水や農作物からも検出されているとのことであり,放射性物質が飛散してきていると考えられます.
内部被ばくについては,「ホールボディーカウンター」など,それを評価するための機器や方法があります.詳しくは,以下のサイトをご確認ください.

・緊急被ばく医療研修:内部汚染の評価方法
http://remnet.webcdn.stream.ne.jp/
www09/remnet/lecture/b05_01/2_2_4.html


・緊急被ばく医療研修:緊急被ばく医療ポケットブック
http://remnet.webcdn.stream.ne.jp/
www09/remnet/lecture/b05_01/index.html

by n_i_2011 | 2011-03-22 21:39 | 放射性物質の影響・被害
厚生労働省の食品放射能規制の暫定基準値はWHOのものより高いようですが、どうしてですか?
【ご質問】

WHOの基準はヨウ素もセシウムも区別せず全体で1Bq/L、ドイツはさらにその半分だそうですが、その辺りをどうお考えですか?

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【回答】

以下の資料によると例えば水については,,WHOのガイダンスレベルではヨウ素131が10Bq/Lの程度,セシウム137が10Bq/Lの程度であるようです.
http://www.who.int/water_sanitation_health/
dwq/GDW9rev1and2.pdf

以下ではWHOの基準について少し説明します.ドイツについては適当な資料が入手できなかったため,回答は控えさせてください.

上記資料によると,WHOのガイダンスレベルは,「預託実効線量」(内部汚染をしてから将来受ける被ばく線量)が年間で0.1mSv以下になるように設定されています.また,これは日常的な正常な状況での基準であり,緊急時で汚染を受けている場合に適用されるものではないことも記載されています.今回は緊急時であるため,政府が暫定規則値を出したと考えられます.

今回の政府の暫定規制値については,食品安全委員会の資料に詳しい記述があります.
http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/
emerg_genshiro_20110316.pdf

詳しくは資料の問3を見て頂きたいと思いますが,ICRP(国際放射線防護委員会)が勧告した放射線防護の基準(例えば放射性セシウムの場合は,実効線量が5mSv/年)をもとに指標が定められているようです.この基準が,前述のWHOガイダンスレベルで参照されている0.1mSv/年よりも高いため,結果として暫定規制値はWHOのガイダンスレベルより高くなったと考えられます.
by n_i_2011 | 2011-03-22 21:35 | 放射性物質の影響・被害
水道水を飲んだ場合の内部被ばくの影響について教えてください。
【質問】

福島県災害対策本部の発表に福島市の水道水に放射性物質のヨウ素とセシウムが検出されたとの発表がありました、原因は福島第1原発の爆発が原因ではないかとの事です。
検出された放射性物質の量が微量なので健康には問題ないとの事ですが、水道水を長期間飲み続けても大丈夫なのか?
放射性物質を体内に取り込めば内部被曝を起こし健康に悪影響を及ぼさないか疑問です。
体内に放射性物質を取り込めば細胞を長期間破壊する可能性が高いと思いますがはっきりした数値の発表は無かったと思います、水道水を飲んでも内部被曝は無いのでしょうか。
分かり易く内部被曝の危険性の解説をお願いします。

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【回答】

下にリンクのある静岡新聞の記事を見る限り,以下の量の報告があったようです.
 ・場所:県原子力センター福島支所(同市方木田)の施設の水道水
 ・日時:3/16,午前8時
 ・検出量(水1キログラム当たり)
   ①ヨウ素131⇒177Bq *国の摂取基準値:300Bq
   ②セシウム137⇒58Ba *国の摂取基準値:200Bq
"Bq"というのはベクレルと読み,放射性物質の放射線を出す能力を表す単位で,1秒間に1つの放射線を出す場合が1Bqです.大きいほど,放射線を出す能力(=放射能)が強いことになります.

この新聞で報道されている値については,直ちに健康に影響が出る量ではないと考えられます.ただし,追加で県内全域政府や研究所による調査も検討されているとのことですので,政府・自治体からの最新の発表を確認するようにしてください.(3/16現在)
*静岡新聞(3/16),http://www.at-s.com/news/detail/100010789.html

内部被ばくがないかという質問ですが,これについては被ばくの可能性はあります.ただし,「被ばく」というのは「放射線を浴びる」という意味の語句ですので,被ばくをしたら健康に影響がでるというわけでは必ずしもありません.被ばく量がどの程度であるかが,健康影響を評価する上で重要になります.国の摂取基準値や指示は,健康影響を考えて設定されていますので,それに従うようにしてください.過剰に反応して水を摂取しない等は,別の健康影響につながる可能性もあるため,冷静にご対応ください.

詳しくは,以下のリンク先の食品安全委員会の説明をご覧ください.
http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/emerg_genshiro_20110316.pdf

また,放射線医学総合研究所のサイトにも有益な情報が多くあります.
http://www.nirs.go.jp/index.shtml
by n_i_2011 | 2011-03-18 16:39 | 放射性物質の影響・被害
海水を投入していますが、煮詰まって、塩分濃度が高くなっても大丈夫なんでしょうか?
【ご質問】

海水を投入していますが、煮詰まって、塩分濃度が高くなっても大丈夫なんでしょうか?

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【回答】

海水を投入することは想定されておらず,煮詰まって塩分濃度が高くなった場合あるいは塩が析出した場合には,何らかの影響が出る可能性は否定できないと考えられます.他の問題と比較してその緊急性を考慮し,どの段階かで対応は必要になるかもしれません.
by n_i_2011 | 2011-03-18 16:36 | 原子炉の状況やその安全性
放射線量だけで安全性を語れる理由は何ですか?飛散する放射性物質は考慮しなくてよいのでしょうか?
【ご質問】

放射線量と放射性物質とは危険性が違うと解釈していますが、爆発時に放射性物質がチリに舞って周囲に飛び散ったように思います。そういう危険性は考慮せずに放射線量だけで安全性を語る理由をご説明ください。

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【回答】

環境中の放射線量の増加を測定することは,爆発時に飛び散った放射性物質からの放射線も測定している事になります.そのため基本的には,環境モニタリングの数値から安全性を語ることが出来ます.

内部被ばくについてのご質問でしたら,現在まとまった説明を準備中です.お待ちください.
下記のサイトにも多くの有用な情報がありますのでご参考ください.

食品安全委員会
http://www.fsc.go.jp/sonota/
emerg/emerg_genshiro_20110316.pdf


放射線医学総合研究所
http://www.nirs.go.jp/index.shtml
http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i3
by n_i_2011 | 2011-03-18 15:07 | 放射性物質の影響・被害