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環境エネルギーと原子力を学ぶ学生による原子力Q&A
nucqa.exblog.jp
なぜ突然,停止していたはずの福島第一原発4号機で火災が発生したのでしょうか?
具体的な情報が得られないために現段階ではあくまで推測ですが、使用済み核燃料を保管するためのプールの冷却がうまくいかず、そのプールの水が蒸発したために、1号機や3号機の原子炉圧力容器と同様に水素が発生し、水素爆発が起きたものと考えられます。

以下に詳細な解説を加えます。


<福島第一4号機の地震当時の状況>
福島第一原子力発電所4号機は、昨年11月末より定期検査(定期的に実施される,原子炉の健全性の検査)中で、地震発生当時は運転停止状態にありました。

<使用済み核燃料>
原子力発電所の定期検査では一般的に、それまで燃やしていた古い核燃料が炉内から取り出され,新しい燃料と交換されます。この取り出された古い燃料は,使用済み核燃料と呼ばれます.この使用済み核燃料は,原子炉格納容器内の上部にあるプール内で水に浸した状態で最低数年間は保管されます。


<なぜプールの中で保管するのか>
使用済みの核燃料の中では核分裂の結果として生じた物質(核分裂生成物)がさまざまな反応を起こし、熱を生じるためです。これは連鎖的な核分裂反応がおさまっていても,長い期間継続するものです.ここで発生する熱を取り除くため、使用済み核燃料は水を満たしたプール内で保管し、冷やし続ける必要があります。


<推察される爆発の原因>
仮に何らかの原因で使用済み燃料を冷やし続けることができなくなると、発生する熱により使用済み燃料本体の温度が高くなりすぎ,溶け出してしまう恐れがあります。また、使用済み燃料本体の温度が高くなりすぎると、核燃料を包み込んでいる「燃料被覆管」と水が化学反応を起こして水素が発生する可能性が高まります。この水素が発電所建屋内にたまりすぎると、福島第一原子力発電所1号機や3号機で起きたものと同様の爆発(水素爆発)が起きる可能性があります。


現段階で得られている情報を総合的に判断すると、後者のメカニズムによって4号機の原子炉建屋内で水素爆発が発生したものと推測されます。

※今後、さらなる情報が分かり次第、随時内容を更新していく予定です。
by n_i_2011 | 2011-03-14 21:26 | 原子炉の状況やその安全性
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