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環境エネルギーと原子力を学ぶ学生による原子力Q&A
nucqa.exblog.jp
発表される放射線測定値が大きく変動するのは何故ですか?
放出される放射性物質の濃度が増加する現象と,減少する現象があり,その二つのバランスで測定値が決まるため,大きく変動することになります.

<増加の原因>
容器の内圧を下げるため排気(「ベント」と表現されたりしています)等の作業を行ったり,また破損している部分からの漏れ出しがあった場合,溜めこまれていた放射性物質が,同時に外に放出される可能性があります.その場合,瞬間的に放射線の量が増加することがあります.

<減少の原因>
①原子力発電所から放出された放射性物質は自然と崩壊してその量が減りますので,追加の放出が続かなければ,放射線の量は減衰していきます.また,②大気中に拡散して薄まるという効果もあります.主にその2点のくみ合わせで,放射線の量は減少していきます.

以下に,減少の原因の①と②について,もう少し詳しく説明します.
<①について>
キセノンやクリプトンなどの寿命の短い物質(半減期が短い物質)の場合,①の効果で「放射能が(急激に)落ちる」ということになります.実際に報告される放射線の量(100μSv/hなど)は,様々な物質の影響を足し合わせた結果ですので,どの物質がどの程度減少あるいは増加したかについては,より詳細な分析が必要になります.

<②について>
風向きや天気によって,拡散/飛散の仕方は変化します.一般に,風上から風下に移動します.また,雨などが降れば,それにより放射性物質が地面に戻されやすいため,飛散はし難くなります.ただし,拡散/飛散の過程は非常に複雑であり,ちょっとした条件の変化で変わります.そのため安易な予測よりも,放射線の量のモニタリング結果が最も信頼できると言えます.
by n_i_2011 | 2011-03-15 11:14 | 放射性物質の影響・被害
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